株式コラム・495 静岡銀行と名古屋銀行の経営統合
静岡銀行と名古屋銀行が経営統合を発表しました。静銀の親会社であるしずおかFG(フィナンシャル・グループ)の下に両行が子会社としてぶら下がり、名銀の株式はこのFGの株式と交換されることになります。
自主独立を宣言していた名銀が統合を決意する経緯を振り返ります。①まず低金利時代で融資業務以外の収益確保が求められるなか、他社との連携はどの銀行も模索していました。②そこに東証が上場維持基準を上げてきた。加えて経産省は買収提案を真摯に受け止めろと要請する。今でこそ利ざやが拡大し株価は上昇しましたが、万年割安銘柄の常連だった銀行は株価対策と買収防衛のため規模拡大が喫緊の課題となります。
次に③2021年12月に愛知銀行と中京銀行が経営統合発表したことです。これによって名銀は県内地銀トップの座を譲ることになった。経営陣は「トップ挽回のために無理な営業はしない」と答えていましたが、心中穏やかでなかったのは当然でしょう。
そして④その数カ月後に名銀は静銀との業務提携を発表します。その際「経営統合は考えていない」と宣言していました。仮に考えていてもそんなことは言いませんよね。
そして➄25年10月、米系投資ファンドが名銀の株式大量保有を公表します。これが統合発表の時期を早めるトリガーになったかもしれません。
このように外部環境、国策、地元ライバルの合併、そして市場のプレッシャーがあり、かかる経営判断に至った、そう分析いたします。
両行を比較すると融資、預金残高や県内シェア、収益、多角化など、どれをとっても静銀が圧倒的に強い。企業文化は静銀が成果を求めてドライな営業という印象で、名銀は顧客に寄り添いながら関係を深めるスタイル。宴会、ゴルフ、旅行会を厭わず、そこで客が行員を育てる、これぞ昭和の作法という銀行なのです。
買収や合併が日常茶飯事の株式市場ではどこかの地銀統合など小さなニュースの一つです。でも当事者たち、特に大と小の統合における小に属する当事者たちにとっては大きな事件になる。
証券コード8522名古屋銀行は消えます。ニュースリリースには統合後の親会社を「新FG」と表現しています。「しずおか名古屋FG」と変更するのでしょうか。
取引先の思いは、名銀文化は変わらずにいて欲しい、が、変わらなければ統合の意味はない。エリア重複がないだけに名銀らしさを守り静銀の力を利用するしたたかさで地域経済へ貢献して欲しい。【のび太】